遺言書とは

人は亡くなると、財産は相続人に相続されます。

相続は、民法で決められた人(法定相続人)に民法で決められた割合で分割されるのが基本です。

しかし、民法は亡くなった方(被相続人)の意思を尊重していて、遺言があればそれを優先させます。

遺言が無ければ、法定相続を基本に相続人の協議で分割されます。

ですから、これは被相続人の最終の意思表示です。

もちろん、財産だけでなく、こうしてほしいなど被相続人の思いも遺せます。

特に遺言が必要なときは

☆遺言者が法定相続分と異なる配分をしたいとき

配偶者や子供たちの生活力と健康状態など、実情に応じて配分することができます。

☆遺産の種類や数が多いとき

相続協議をするときに種類や数が多いいと、煩雑ですし協議がまとまらないこともあり、トラブルの元になります。

☆被相続人に子供が無く、相続人が配偶者と亡くなられた方の親もしくは兄弟姉妹だけのとき。

残された配偶者と、亡くなられた方の親やもしくは兄弟姉妹との話し合いは、円滑に進まないときがあります。

☆個人企業など自営業のとき。

家業を継ぐ子供に店舗などを残したちときに必要です。

子供の数が多いときは、相続分割のために店舗などを手放すことになるかもしれません。

☆法定相続人以外の人に遺産を贈りたいとき。

この場合は遺言がなければ不可能です。

イ 子供の配偶者(息子の妻や娘の夫)

ロ 内縁の配偶者

ハ 孫など

ニ 療養介護をしてくれた人など

ホ 慈善団体への寄付・財団の設立など

☆その他、遺言があった方が相続が円満に行われると思われる場合

イ 相続人の中に行方不明者や浪費者がいる場合

ロ 相続人同士の仲が悪い場合

ハ 離婚経験があり前の配偶者との間に子があり、本人が再婚している場合

ニ 一人で生活している未婚者の場合

ホ 婚外子がいる場合

独身者で配偶者・子・親・兄弟姉妹など相続人がいない人に必要です。

財産は、相続人がいなければ、最終的には国に収用されます。

遺言があれば前述のように、自分の考える人にプレゼントできます。

遺言書の書き方

大切なことなので、書き方が民法で定められています。

☆自筆証書遺言

遺言書を自分で書きます。

大きな決まりごとが四つあります。

① 遺言の内容を全部自分で書きます。パソコン(ワープロ)は不可です。

② 特定できる日付を書きます。

③ 署名します。

④ 押印します。

封筒に入れなくても構いません、自分で保管するか、信頼できる人に預けても良いです。

夫婦で一通の遺言書は作れません。

亡くなられた時は、家庭裁判所の検認が必要です。

2018年7月に民法が改正されました。

自筆証書遺言書が法務局に保管されることになりました。(2020年7月10日から)

☆公正証書遺言

公証人に遺言所を作成してもらいます。公正証書として執行力を持ちます。

① 証人二人の立会いが必要です。

② 遺言者が内容を公証人に口述します。

③ 公証人がそれを筆記し、遺言者と証人に読み聞かせます。

④ 遺言者と証人が、筆記の正確なことを確認した後、署名・押印をします。

⑤ 公証人が、様式に従ったものであることを付記して、署名・押印します。

正本は公証役場で保管されますので紛失の心配はありません。副本をもらうことができます。